この記事は2025年2月23日に作成しました。


令和5年度の全国平均賃金・工賃月額が令和7年1月30日に行われた社会保障審議会障害者部会の会議によって開示されました。


これまでは都道府県ごとの平均賃金・工賃月額は出ていましたが、最近になって全国平均が出たのを筆者は知りました。


平均賃金や平均工賃は就労支援施設の運営においても非常に重要な指標になります。


単純に賃金や工賃が高い施設は利用者からのニーズがあるだけでなく、B型施設では施設の収入となる基本報酬自体が変わってきます。


しかし自分の勤めている施設がどのくらいの平均賃金・工賃を提供できているかを把握している就労支援員は少ないかもしれません。


ぜひ最新の全国平均を知り、自分の施設はどのくらいの賃金や工賃を利用者へ渡しているかを調べてみると良いかと思います。


はじめに

厚生労働省「障害者就労に係る最近の動向について」より引用

今回取り上げるデータは、令和7年1月30日に開示された「障害者就労に係る最近の動向について」を基にしています。


令和5年度は2023年4月から2024年3月までのデータを集計していますが、各施設は2024年4月に前年度のデータを提出しているはずです。


しかし2024年は医療・介護・障害のトリプル改訂があったため、例年よりも少し提出が遅くなった記憶があります。


そのため平均賃金や工賃についても、例年より開示が遅れているかもしれません。


そして特にB型施設については、平均工賃月額の算出方法自体が変わっているため大きく変化が起きています。


就労継続支援A型施設の令和5年度平均賃金月額

厚生労働省「障害者就労に係る最近の動向について」より引用

上図が就労継続支援A型施設の令和5年度を最新とした、年度ごとの平均賃金月額の推移になります。


グラフを見ていくと、段々と右肩上がりに推移していることがわかりますね。


A型施設は最低賃金によって大きく左右されるため、併せて東京都の最低賃金を見てみましょう。

どんどん最低賃金が上がっていることがわかりますね。


そのため最低賃金が今後も上がっていったら、A型施設で支払われる利用者への平均賃金月額もどんどん上がるはずです。


ちなみに都道府県ごとの平均賃金月額について、前年度と比較した資料も開示されていました。

厚生労働省「障害者就労に係る最近の動向について」より引用

東京都に限らず、すべての都道府県で前年度比は上昇しています。


そうなると以前ポストしたようなA型施設の閉鎖は今後も加速するかもしれません。

https://twitter.com/b_goodconsul/status/1823554385680490746?s=46

実際に2024年は3月〜7月において全国で329ヶ所のA型施設の閉鎖がありました。


そして今後も閉鎖していく可能性があるのではと読み取れる資料も開示されていました。

厚生労働省「障害者就労に係る最近の動向について」より引用

上図を簡単にまとめると…

  • 回答された3,880施設のうち1,453施設が利用者賃金の総額を下回っている(37.4%)
  • その中でも令和5年3月末時点も指定基準を満たしていない事業所は1,089施設(74.9%)

すべての事業所が回答したわけではないですが、それでも40%近くの施設が生産活動で得られる収入が、利用者へ支払う賃金を下回っています。


そもそも、A型施設は「生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額が、利用者に支払う賃金の総額以上となるようにしなければならない」とされています。


それが満たされていないとなると、指定基準を満たしていないため指定停止もあるのではないかと考えられます。


そして今後も最低賃金が上がっていくとなると、生産活動の収入も上がっていかないと運営が危うくなります。


厳しい状況が今後も続きそうですね…。


就労継続支援B型施設の令和5年度平均賃金月額

厚生労働省「障害者就労に係る最近の動向について」より引用

B型施設の平均工賃月額については、上図のようになっています。


令和4年度が17,031円だったのが令和5年度は23,053円と、6000円以上の増額となっています。


これは前述した通り、そもそもB型施設の平均工賃月額の算出方法が変わってしまったためです。


詳しくは割愛しますが、現在は以下のような書式で平均工賃月額は施設ごとに算出できるようになっています。

神奈川県「就労継続支援B型に係る基本報酬の算定区分に関する届出書」より引用

月毎の利用者への工賃を算出し、月毎の平均利用者人数を除した金額が、平均工賃月額となります。


令和5年度分の工賃計算からこのような方式となったため、平均工賃月額は令和4年度より前の数字と大きく変わりました。


ちなみに全国的な平均工賃月額については、以下のようになっています。

厚生労働省「障害者就労に係る最近の動向について」より引用

東京が平均工賃月額が高いかと思いましたが、最も平均工賃月額が高いのは徳島県最も平均工賃月額が低いのが山形県となっています。


こちらも前述していますが、B型施設においては平均工賃月額については利用希望の方も見ていることがありますし、施設の基本報酬にも大きく影響します。


平均工賃月額が高い施設ほど、B型施設に入ってくる訓練給付費が多くなります。


もしかすると令和6年度の平均工賃月額の算出方法が変更となって大きく平均値が上がったが故に、今後は基本報酬の見直しが入る可能性もあります。


B型施設は全国的にものすごいペースで増えているため、今後はより支援や実績などの質の部分が重視される方策が取られるかもしれません。


就労支援員としては自分の施設の平均工賃月額などの実情を知り、自分の職場が生産活動の収入を上げるために無理な働き方をさせないかなどは注意したいですね。


特にサービス残業などが横行しているようなら、ぜひ以下の記事もご覧いただけたらと思います。

まとめ


今回は現在の最新情報となる令和5年度の平均賃金・工賃月額についてまとめました。


令和6年は医療・介護・福祉のトリプル改定で、大きく変わった部分もありました。


医療は2年ごと、介護と福祉は3年ごとに報酬改定があります。


結局、就労支援施設は厚生労働省が方針決定したことに対して、施設ごとに適用して運営していくしかありません。


特にA型施設は最低賃金といった福祉以外の要素が関わってくるため、運営においては本当に苦労していると思います。


就労支援といっても、やはり利益を出していかないと継続的な運営はできません。


しっかりと利益を出せる方策を考え、職員たちは利用者の方々に手厚い支援をしていくという両輪がどうしても必要になります。


このサイトでは引き続き就労支援における実情を発信していくため、ぜひご覧いただけたらと思います。


利益追求と支援充足、就労支援は両輪のバランスを取ることが必要になります。